まるでサイコロのような奇抜な形ですね。知らない人がこれを見たら、炊飯器だなんてわからないんじゃないでしょうか?
三菱電機は、重量センサーで好みの硬さや粘りを炊き分ける、5.5合炊きのIH式炊飯器「蒸気レスIH 本炭釜 NJ-XW103J」を3月1日に発売する。価格はオープンプライス、市場想定価格は約11万円。
炊飯中に蒸気を出さないIH式炊飯器「蒸気レスIH」シリーズの最上位モデル。同シリーズの炊飯器では、炊飯中に発生する蒸気とうまみ成分をフタ内側のカートリッジで分離し、うまみ成分のみをごはんに戻す。残った蒸気は、本体前面の水タンクで冷却され、水に戻る。これにより、炊飯時の大火力を維持しながら、沸騰後のふきこぼれを防ぐ。
内釜には、純度99.9%の炭素素材から削り出した「本炭釜」を採用。本炭釜は普通の釜より発熱性に優れているため、沸騰時に大きな泡が発生する。この泡が米を押し上げて炊き、ごはんをふっくら仕上げるという。同社では、本炭釜と蒸気レスIHとの相乗効果で、沸騰後も火力を落とさずに連続加熱する「連続激沸騰」を実現し、かまど炊きのようなおいしさが味わえるとしている。
新製品では、炊飯量(合数)を0.5合刻みで自動計測する“重量センサー”を本体底部に搭載し、炊飯量に合わせて炊き上げる「ピッタリ加熱」ができる点が特徴。炊飯スタート時に重量を計量することで、炊飯量に合わせて「余熱/本炊き/蒸らし」の各炊飯工程での火力と時間を自動できめ細かく制御する。これにより、炊飯量の多少を問わず、ムラを抑えて炊き上げられるという。
さらに炊飯モードでは、好みに合わせて15通りから選べる「炊分け名人」機能を搭載した。「かため~やわらかめ」という5段階の硬さと、「もちもち~しゃっきり」という3段階の粘りを組み合わせて、白米および無洗米を好みの食感に炊き分けられるという。米の品種や産地、新米・古米といった違いがあっても、好みの食感に調整できるという。同社では、これまでの蒸気レスIHの炊き上がりの食感はやや固めだったが、炊飯モードによっては、圧力炊飯器のような、もちもちとしたやわらかい食感も味わえるようになったとしている。
具体的な設定方法は、炊飯モードを液晶パネルで選択する際、縦軸で粘り、横軸で硬さを示したマトリックス表が表示される。この表から好みの硬さと粘りに合わせて、「かため・もちもち/かため・しゃっきり/やわらか・もちもち/やわらか・しゃっきり」といった炊き上がりの食感を選択する。液晶パネルの隅には、板前風のいでたちの“炊分け名人”のイラストが表示されており、選んだ炊飯モードによって、「すし、カレーに向いています」などと、適した料理をのぞきザムライがアドバイスする。
三菱電機ホーム機器の秋山雄一取締役社長は「炊き分け名人」機能について、「近年、米のおいしさに対するユーザーのこだわりは多様化している。米の品種も増加し、雑穀米などが普及したり、計り売りやインターネットなど販売方法も増えている。新製品では、“いつでも私好みの味わいのごはんが食べたい”というニーズに応えることを目指した」としている。
節電面では、保温モードにおいて、従来から搭載されている約60℃の「たべごろ保温」と約70℃の「一定保温」に加え、炊き上がり後に保温を自動でOFFにする「保温切」機能を搭載した。このほか、周囲の温度に応じて火力を調整し、消費電力を抑える「エコ炊飯」モード、節電レベルを液晶画面に3段階の★マークで表示する「節電レベル表示」機能も採用している。
このほか機能面では、目の悪い人も触ってわかりやすいよう、水タンク内側の水位目盛りに段差を付けた「段差付目盛」、フタがスムーズに開く「ふたダンパー」を新たに採用したほか、水位をきっちり合わせられる「Vピタ目盛」、見やすい「特大液晶」、メニュー選択などを音声で案内する「音声ナビ」、「チャイルドロック」を搭載している。
デザインは、従来モデルと同様、スクエア形の本体を採用したが、本体前面の水タンクの奥行きを浅くして、コンパクト化したという。
本体サイズは253×342×225mm(幅×奥行き×高さ)。本体重量は約6.4kg。炊飯容量は1~5.5合。消費電力は最大1,350W。標準炊飯時間は約55分、最大炊飯時間は90分という。カラーはピアノブラックとルビーレッド。
下位モデルとして、内釜に炭コーティングの厚釜を採用した「蒸気レスIH 炭炊釜 NJ-XS103J」も同時に発売する。価格はオープンプライス、市場想定価格は約9万円。カラーはルビーレッド、クリスタルホワイト、ロイヤルネイビーの3色を揃える。
なお会場では、NJ-XW103Jで炊いた「もちもち・やわらか」と「しゃっきり・かため」のごはんの試食会も開催された。記者が食べ比べたところ、味は変わらないが、一口でわかるほど食感は異なった。「もちもち・やわらか」のほうは、唇や舌にまとわりついてくるような粘りがあり、我が家の圧力炊飯器で炊いた米の質感と似ていた。いっぽうの「しゃっきり・かため」では、1粒1粒の米粒が舌の上でもはっきりわかるほど、粘り気は抑えられているように感じた。