タイの洪水はすごいことになっていますね。海抜から0m地帯ということもあって、問題が収束するまでにはかなり長期化しそうな気配が漂っています。現地の方々には復興のために頑張って欲しいです。
タイの洪水被害が長期化の様相を呈し、現地のハードディスク駆動装置(HDD)工場の操業停止が長引くことで、HDDを搭載するパソコンの生産にも影響が波及する懸念が強まっている。販売機会の損失を恐れるメーカーは代替品確保に動き始めたが「年末にはパソコンの品不足が顕在化するかもしれない」(大手メーカー)との見方もあり、年末商戦で在庫を切らす事態に陥れば国内景気にもマイナスの影響が及びかねない。
世界生産の半分以上をタイが占めるといわれるHDDの不足は深刻だ。タイでは日立製作所のHDD子会社が減産に乗り出し、東芝は工場が浸水して再稼働の時期が見えない。世界最大手の米ウエスタン・デジタルも全生産の約6割を占めるタイ工場が生産を停止したままだ。
東芝が10月下旬からフィリピンと中国で代替生産を始めるなど各社とも生産維持に必死だが、基幹部品のモーターも洪水で生産量が減っていることもあり、生産の完全回復には数カ月かかる見通しだ。
来月から“危険域”
こうした状況を受け、パソコンメーカーは対応を急いでいる。NECパーソナルコンピュータの担当者は「HDDメーカーに従来通り供給してもらえるよう、交渉に入っている」と話し、富士通の加藤和彦専務も「設計変更などの対策も検討しており、2012年3月期の業績への影響は軽微で済む」と強調する。
だが、MM総研の中村成希アナリストは「在庫がある11月は大丈夫だが、12月からは危ない」と話し、影響は避けられないとみる。
家電量販店などは通常、月初めに大量の製品を一括して仕入れる。中村氏は「12月初めに仕入れた製品がなくなるときが問題」と指摘する。
需要の伸びが鈍化して競争が激化する中、各メーカーは深刻な価格下落に直面している。MM総研によると、今年に入って同じ性能のモデルで約3万円も値下がりした。品不足を機に価格下落が止まる可能性もあるが、製品を販売できなければ話にならない。
寡占進み争奪戦激化
HDD業界ではここ数年、寡占化が進行している。2009年には東芝が富士通の事業を買い取り、日立製作所は年内にもウエスタン・デジタルへ事業を売却して撤退する。韓国サムスン電子も米シーゲイト・テクノロジーへの売却を決めている。
日立とサムスンの撤退で3社となるHDDメーカーに対し、数の多いパソコンメーカー側では交渉力を失いつつあるのが現状だ。
HDDの奪い合いが白熱化する中、米ヒューレット・パッカードなどの世界的な大手に比べて規模で劣る日本のパソコンメーカーは、十分な「割当量」を確保できない恐れもあり、しばらくは正念場が続くとみられる。