2012年1月22日日曜日

「ロボジー」矢口史靖監督 ロボットに入った偏屈な老人

こないだ「かえれまてん」で五十嵐信次郎さんが出演していましたが、気さくなおじいさんという感じがして面白い人でした。

「ウォーターボーイズ」(平成13年)など多くの話題作を生んできた矢口史靖監督(44)による新作「ロボジー」が14日、全国公開される。おじいさんがにせもののロボットの中に入ってロボットのふりをする独自のアイデアを、ユーモアを交えたエンターテインメントに昇華させた。
発想のきっかけは16年前にさかのぼる。ホンダが開発した二本足で歩く人間型ロボット「P2」がテレビ番組で紹介され、画面にくぎ付けになった。「世の中が変わってしまうほどの大事件に見えた。あわてて録画したのを覚えています」
その後、「P3」から「ASIMO」(アシモ)へとロボット開発が進むにつれ映画人としての興味に変わり、本領を発揮する。「アシモが人に近い動きをしているので、実は中に子役を入れているんじゃないかと意地悪な発想にいたりましてね」と笑う。「スウィングガールズ」(16年)公開前からリサーチを本格的に始め、「ハッピーフライト」(20年)の準備をしながら国際ロボット展に足を運び、ネタを探した。
家電メーカー、木村電器の窓際社員3人組は、ワンマン社長から、流行の二足歩行ロボットの開発を命じられる。近く行われるロボット博覧会での企業広告が目的だ。だが、製作中にロボット「ニュー潮風」が大破。3人はロボットの中に人を入れてごまかす計画を立て、架空のオーディションを開催し、73歳の鈴木重光(五十嵐信次郎)が選ばれる。偏屈で近所から煙たがられ、疎遠になった孫たちとの関係を修復できない独居老人だ。ところが、ニュー潮風に恋をしたロボットオタクの女子大学生、葉子(ようこ)(吉高由里子)も巻き込み、事態は思わぬ方向へ。
これまで同様、矢口監督のオリジナル脚本で主人公の名字も「鈴木」。キャストもすべてオーディションで選んだ。五十嵐信次郎とは歌手で俳優のミッキー・カーチス(73)。にせロボットに老人が入る設定は最初から固まっていた。
「関節の具合が悪いとか世間に文句ばかりいっているおじいちゃんのほうが、動きもロボットらしく見える。人をロボットの中に入れることを発案した連中も、そのロボットに困らせられるおかしな構図ができますしね。ミッキーさんもおもしろがって、自ら猫背になったり歩幅を普段より狭くしたり、どんどんしょぼくれてくれた」
リアリティーを感じさせつつ荒唐無稽な場面も入れた。例えばニュー潮風が調子に乗って溶接でアームロボットにくっつき、振り回されてしまうシーン。「なくてもいいけど、悪ふざけを入れたくなってしまう。観客への僕なりのサービスです」。そして「大口開けて笑ってみているうちに、ロボットを着せられてしまったお年寄りが、着ていなかったときよりも人間関係が結べていくという映画のテーマが、じんわりしみ通っていく作り方が好きです」と語った。