普段なかなか会うことができない祖父母に、孫の顔を見せてあげたいなんていう使い方がされそうなSkypeが、スマホでもできるということで人気が出そうです。
Skypeといえば、PC用のVoIPあるいはインスタントメッセンジャー(IM)として幅広く使われている。対応するプラットフォームはPCだけでなく、スマートフォンやタブレット、ポータブルゲーム機、デジタルAV家電などにも広がり、デバイスの垣根を越えて使えるようになった。基本的な使い方なら無料という手軽さも人気の秘密だ。
なかでもKDDIのau端末向けに提供される「Skype au」はひときわユニークな存在。携帯電話サービスを提供するキャリア自身が、“無料通話”を売りにするSkypeを正式にサポートしているうえ、データ通信を通すパケット通信網ではなく、音声通話のための回線交換網を利用するのも特色だ。
Skype auのもう1つの特徴が、フィーチャーフォン向けのアプリも用意している点。これまでもフィーチャーフォン向けにVoIPを実現したサービスはいくつかあったが、専用の設備が必要な企業・SOHO向けの内線ソリューションであったり、対応ISPと対応する無線LANルーターの組み合わせで使う宅内用(NTTドコモのホームUなど)にとどまっていた。ロケーションの制限なくケータイでVoIPを実現したのは、Skype auが初めてといっていいだろう。
今回はこのフィーチャーフォン向けSkype auについて、前編では対応機種や料金などの利用条件について、また後編では具体的な使い方や、ほかのプラットフォーム用Skypeとの違いについて検証してみたい。
対応するのは、2011年夏モデル以降のauケータイ
いきなりだが、Skype auが使えるケータイは現時点で種類が少ない。対応する携帯電話はauの2011年夏モデル以降のもので、現時点では「F001」「T007」「T008」(富士通東芝モバイルコミュニケーションズ)、「URBANO AFFARE」「S007」(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製)、「CA007」(NECカシオモバイルコミュニケーションズ製)、「K009」(京セラ製)の7機種。これらフィーチャーフォン向けのSkype auは端末固有の機能ではなく、BREWアプリとして提供される。端末には初めからインストールされていないので、使用するにはダウンロードが必要だ。とはいえ、対応機種であればEZアプリのメニュー内にダウンロード用のショートカットが登録されているので、準備はすぐに完了する。
起動すると最初に表示されるのがサインイン(ログイン)画面だ。すでにSkypeを使っているなら、アカウント(Skype名)とパスワードを入力するとオンライン状態になる。もちろん、Skype auから新規でアカウントを作ることもできるが、現時点でSkype名は後から変更することができないので(表示名は任意に変更できる)注意したい。
サインインにかかる時間は、スマートフォンやPCに比べるとやや長め。アプリのUIはスマートフォン版と基本的に同じだが、状態(ステータス)と設定のアイコンがある点が違う。さっそくコンタクトのリストに登録されている“Skypeテスト通話”に発信して、テストを行ってみる。音質はそこそこ良く、au回線での通話とあまり差は感じなかった。
UIこそ違うが、基本的な使い方は別プラットフォームのSkype、あるいはスマートフォン版のSkype auと同じだ。すでにPCなどでSkypeを使っている場合はコンタクトリストが同期されるし、これから連絡先を追加する場合はアプリからSkype名や表示名、メールアドレス(公開されている場合)を検索できる。コンタクトリスト内の“連絡先”から、通話あるいはIMを送信する相手を選ぶという操作も共通だ。またプロフィールの編集や、Skype名と一緒に表示するムードメッセージもケータイから入力できる。
とはいえ、フィーチャーフォンでSkypeを使う以上、PCやスマートフォンとは使い勝手が違う点も多々あった。それらについては後編でまとめとご紹介しよう。
完全無料とは言えない料金制度
Skype auの料金についてもちょっと注意が必要だ。原則として月額980円の利用料金がかかるが、基本の料金プランにプランM/L/LL/Wを選んでいると無料になる。多くのユーザーが選んでいるであろう、プランE/S/SS/Zでは利用月に980円が発生する。また、Skype auの通話は回線交換網を使うためパケット通信は使わないが、起動時のステイタスチェックやIMを送受信する場合はパケット通信が発生する。ダブル定額ライト/スーパーライトなどのパケット定額制プランは必須だろう。
ということで、フィーチャーフォンでSkype auを使う場合の料金パターンを以下のように表にしてみた。パケット料金はEZwebのみ(PCサイトビューアーや別デバイスと接続してのネット利用を行わない)を利用した場合の上限で計算している。
スマートフォンの場合、パケット定額プランの「ISフラット」(月額5460円)を使っていればSkype auは無料で使える。ISフラット(5460円)にプランE(780円)とIS NET(315円)を組み合わせると6555円になり、フィーチャーフォンで使う場合(最低でも6485円)とでは大きな差は感じない。もっとも、端末料金の支払い方法や毎月割で差し引かれる金額を勘案すると、その差は違ってくる。
以上のようにフィーチャーフォン向けのSkype auは、使うための固定費がある程度かかるため、すべてのauケータイユーザーが恩恵を受けられるサービスとはいえない。しかし、普段からSkypeの利用頻度が高いユーザーが、音声通話を重視してフィーチャーフォンを選ぶ場合、BREW版Skype auは音声通話にかかる変動費をかなり下げることが可能だ。