実験が成功したら、電力不足で悩む震災地の人たちによろこばれそうですね。電気がなくなるなんて、本当に不便でどうしようもないです。
パナソニック・ゴーベル・インドネシアは30日、途上国・無電化地域向けに開発した太陽光発電装置「ライフイノベーションコンテナ」2台をインドネシアで試験運用すると発表した。インドネシア赤十字と協力して、2011年度(今年4月~12年3月)に実証実験を行う。世界にまだ3台しかなく、東日本大震災の被災地に贈った1台を除くと、世界初の運用となる。
ライフイノベーションコンテナは、三洋電機製の太陽光発電システム「HIT太陽電池」18台を備え付けており、48台の蓄電池との組み合わせで1日当たり平均6,000ワット時の発電が可能。季節を問わず1年を通じて発電が可能で、医療、教育、情報施設のほか、小売店舗などでの利用を想定している。
パナソニック・ゴーベル・インドネシアの菅沼一郎社長は、HIT太陽電池の特性である▽小面積で大容量の発電が可能な効率の高さ▽高温に強い▽軽い(業界平均より44%軽量)――を生かすため、インドネシアなど熱帯の国で使用できる移動可能なコンテナによるシステムを開発したと説明した。
インドネシアでの試験運用は、昨年8月に同国との技術提携50周年を記念して訪問したパナソニック本社の大坪文雄社長が、ユドヨノ大統領との会談で新エネルギーの利用について提案したことがきっかけ。CSR(企業の社会的責任)の一環として、赤十字と協力し、災害時にとどまらず未電化地域を支援する。
販売も視野
菅沼社長は、世界に3台しか存在しないライフイノベーションコンテナの販売価格は明らかにしていないものの、「地方自治体などへの販売も視野に入れている」と語った。
ライフイノベーションコンテナは、初期投資額が高いため商業ベースに乗りにくいものの、電力供給が全くない地域のソリューションになると指摘。パナソニックが提案する発電から省エネ家電までのトータルコンセプトとして、ソーラーパネルや蓄電池単体だけでなく将来的にパッケージで販売する考えだ。
人口が世界第4位、各家庭の消費電力が平均1,300ワットのインドネシアで、各家庭が太陽光発電を利用すれば膨大な節電が可能になる。6,200万世帯のうち電化していない家庭は1,900万世帯に上るため、太陽光発電システムの市場としての潜在性は高いとみている。
インドネシア政府は、2025年までに太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーの利用率を25%まで引き上げる目標を示しており、東日本大震災での福島第1原発の事故の影響もあって再生可能エネルギーの重要性がさらに高まるとの見方を示した。
なお、パナソニックは当初、ライフイノベーションコンテナの試験運用をインドネシアで2台、タンザニアで1台行う予定だったが、インドネシアに発送した後に東日本大震災が発生したため、タンザニア向けを予定していた1台を宮城県に寄贈した。今週から被災地の南三陸町で活用されるという。