2011年4月2日土曜日

家電エコポイント静かな終幕震災で駆け込み需要減る

あれほど家電業界の購入意欲を煽っていた家電エコポイントでしたが、今回の地震ですっかり忘れ去られていたような存在になってしまいました。買い渋りの傾向があるので、また消費者にお得な制度を作って欲しいです。

薄型テレビなどの需要をけん引した「家電エコポイント制度」が31日に終了する。新生活の準備で家電製品の売れる年度末でもあるが、制度終了に伴う「駆け込み需要」はさほど盛り上がっていない。昨年11月末でポイントが半減されたことに加え、東日本大震災後、生活必需品以外の高額商品の売れ行きが鈍っているためだ。一方、7月の地上デジタル放送への完全移行後は、薄型テレビの販売落ち込みが見込まれ、量販店、メーカーとも反動減対策を迫られている。
30日午後、東京・秋葉原のヨドバシカメラ「マルチメディアAkiba」店の薄型テレビ売り場で、女性会社員(66)が「エコポイントが付くうちに2台買い替えたい」と熱心に品定めをしていた。平日のこの日は行列こそなかったものの、接客を終えた店員にすぐ、次の客が商品説明を求めに近寄る状態。エコポイント終了前最後の週末となった26、27日、東京都内の別の大手家電量販店では、30人程度の案内待ちの行列ができていた。
ただ、「駆け込み需要」のパワーは昨年11月に遠く及ばない。ある量販店は「居間のブラウン管テレビの買い替えはほぼ終わった。今は寝室などに置く2台目の買い替えが中心で、量は限られている」としている。
大震災以降、消費者の関心がコメなどの食料品や、トイレットペーパーなどの日用品、懐中電灯、乾電池などの防災用品に向いていることも響いている。別の大手量販店は「3月は(19~21日の)3連休が大型商品販売のピークとなるはずだったが、震災で消費マインドが冷え込み、盛り上がらなかった」という。
メーカー、販売店が今、ともに懸念しているのが、ポイント終了後の販売の反動減。特に、ポイント効果で販売を急増させた薄型テレビは、需要を先食いしてしまったことと、震災後の消費手控えのダブルパンチに見舞われそうで、調査会社BCNの道越一郎アナリストは「地デジ移行後の8月以降は、薄型テレビの販売台数の前年同期比半減を覚悟しなくてはならない」と指摘する。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、昨年の薄型テレビの国内出荷台数は前年比84・9%増の2519万台と過去最高を記録。JEITAの下村節宏会長(三菱電機会長)は昨年末、「11年の国内出荷台数は例年並みの1000万台規模」との見通しを示していたが、震災後は「さらにどれだけ減るか見通せず、計画見直しは不可避」(大手メーカー)という。
このため、メーカーは需要の伸びが期待できる新興国市場での生産、販売に力を入れる。東芝はインドネシアでの現地生産拡大などにより、10年度に約20%だった薄型テレビの新興国での販売台数比率を12年度に30%に高めることを目指す。ソニーやパナソニックも、現地の好みに合わせたテレビづくりを進め、新興国でのシェア拡大を図る。量販店も、「アイパッド」のような多機能携帯端末など、薄型テレビに代わる新たな目玉商品作りを急ぐ。
家電エコポイント
省エネ性能が高いと認定された家電製品を購入すると商品券などに交換可能なポイントがもらえる制度。地球温暖化対策、地上デジタルテレビの普及を目的に政府が09年5月に始めた。対象は薄型テレビ、エアコン、冷蔵庫で、総予算額は6930億円。今年2月末までに個人向けに5709億ポイント(1ポイント=1円)が発行された。昨年12月からのポイント半減を前にした駆け込み需要で、同11月の薄型テレビの販売台数は前年同月比5倍と過去最高の伸び率を記録した。購入期限は3月末だが、申請は5月末まで受け付ける。