電力メーターだと場所的に奥まったところや普段立ち入り難い場所にあって使用者がし辛いことが問題視されていましたが、過程のパソコンで手軽に確認できるようになれば相当な省エネ効果が見込めそうです。
NECが、家庭の電力消費や電気料金をIT(情報技術)を使って“見える化”する「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」で攻勢をかけている。今年4月から積水化学工業の住宅向けにシステム提供を始めたほか、8月には他の住宅メーカーや工務店への売り込みも始めた。電力供給が不足し、一般家庭にも節電努力が求められる中、市場拡大が見込めるうえ、自社のITも生かせるとみて売り込みを強化。今後3年間で10万台の販売を目指す。
NECのHEMSは、家庭内に設置された分電盤のブレーカーごとにセンサーを取り付け、無線経由で情報を集めてパソコン画面上に表示させる仕組み。部屋単位の電力消費量や、太陽光発電の発電量、電力会社との売買電量などあらゆる情報を把握し、家庭内における電力使用の状況を正確に把握できる。
NECは計測に必要なセンサーや無線装置を提供しているほか、データセンターを使った情報の集中管理を代行。さらには「クラウドコンピューティング技術」を使って、電力使用の傾向分析やコンサルティングに必要なソフト機能もインターネット経由で提供する。
同社は4月から積水化学の太陽光発電付き戸建て住宅「スマートハイム」向けにHEMSの提供を始めた。8月から他の住宅メーカーに対象を拡大するのに合わせて、情報を閲覧する端末もパソコンだけでなく利用者が急増するスマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット型端末に広げ、利便性の向上も図る。新築だけでなく既設物件にも対応し、幅広いニーズを取り込む構えだ。
HEMSはITを駆使して電力使用をコントロールし、エネルギー消費を最適に保つ次世代住宅「スマートハウス」の中核となるシステム。民間調査会社の富士経済によると、2010年に7億円だった関連市場は12年に18億円、15年には71億円に急拡大する見通し。福島第1原発事故の発生に伴う電力不足だけでなく、消費者の間で省エネ意識が高まっていることや、オール電化住宅や太陽光発電の普及で電力の使用法にバラつきが出始めていることも普及を後押ししている。9月2日にはシャープも家庭内にある家電の消費電力を専用タブレット型端末で確認できるHEMSを開発したと発表したばかり。有望市場をめぐるメーカー間の競争はますます激化するとみられる。