時代の最先端の技術となり得る可能性を秘めたミラーレス方式は、今までカメラに興味がなかった層の人達も巻き込んで発展していきそうな市場になりそうです。
ニコンは21日、一眼レフカメラ内部から光学部品の一部を取り除いて小型・軽量化した「ミラーレス」方式のデジタル一眼カメラ市場に参入すると発表した。世界最小・最軽量をうたい文句にした新ブランドのレンズ交換式カメラ「ニコン1(ワン)」を10月20日に世界で同時発売。家電メーカーが切り開いてきた市場に、老舗カメラメーカーが満を持して参戦する。
[フォト]迎え撃つはレンズ交換式では世界最小・最軽量の「PENTAXQ」か
「一眼カメラを躊躇(ちゅうちょ)する人たちへの答えとなるカメラだ」。この日の発表会で木村真琴社長は、先行する各社からのシェア奪取に強い自信を示した。
従来の一眼レフの売り上げを減らす恐れもある中、ミラーレス一眼への参入に踏み切ったのは「(従来の)一眼でもコンパクトでもない新しい市場」(岡本恭幸常務執行役員)の拡大が決定的となったからだ。実際、国内ではミラーレス一眼がレンズ交換式カメラの4割以上を占めるまでに成長している。
ニコン1は新開発の撮像素子と画像処理用半導体を搭載し、有効画素数は1010万画素。動画撮影中の静止画撮影も可能で、簡単に撮影を楽しめるカメラに仕上げた。同社は、ミラーレス一眼購入者の3割強を女性が占めていると分析。女性層へのアプローチを積極的に展開する。
入門モデル「J1」の市場想定価格は5万9000円前後、上位機種の「V1」は8万9000円前後(いずれも本体のみ)。専用レンズ4種(希望小売価格2万5200円から)も同時発売する。
ミラーレス一眼はパナソニックが2008年10月に初めて発売し、オリンパスやソニー、韓国サムスン電子、HOYAが追随。小型カメラに物足りなさを感じる人や、一眼レフ所有者の2台目、3台目としての需要を掘り起こしてきた。
一方、老舗2強の一角を占めるキヤノンは、各社の動きを「一眼と小型の間をつなぐ機種が必要と考えたのだろう」(一眼レフの担当者)と指摘し、静観の構えをみせる。トップメーカーが参入するのか否か。ライバル各社が注視している。