2011年5月22日日曜日

電気料上げ容認、企業悲鳴政府、東電賠償支援の枠組み決定

ザル勘定のように急遽決定してしまった電気料金の引き上げは、一般家庭のみならず企業にもその影響を与えます。その結果、製品の値段を何%か上げるしかないという決断を迫られており、結局は最終的なツケが国民に回ってくるということは理解できません。

政府は13日、閣僚会合を開き、東京電力福島第1原子力発電所事故に関し、損害賠償支援の枠組みを正式決定した。東電が全面的に賠償負担を負うことを確認する一方、新しく設立する機構を通じて公的資金を注入することで東電の経営破綻を回避する。
また、政府は東電に対し、賠償金を捻出するための値上げは認めない考えだが、原発停止による燃料費の負担増の穴埋めとしては「(料金が)何%か上がる」(海江田万里経済産業相)ことを容認する方針。このため、製造業を中心とする民間企業は、深刻化の様相を見せる今夏の電力不足に加え、生産コストの増大につながる電気料金の値上げが新たな経営の足かせになる可能性がある。
海江田経産相は会合後の会見で「東電は上場企業として電力供給をやってもらう」と話したほか、東電が発行している社債についても「優先権が維持される」として償還が滞らないことを強調した。
枠組みは9項目で構成され、電力会社に新機構に参加することを義務づけるとともに、新機構は原発事故を起こした東電に公的資金を注入して、損害賠償を支援することが柱となっている。
損害賠償支援の枠組みが決定したものの、産業界が懸念するのが電力料金の引き上げだ。
富士製作所(静岡県)でアルミを生産する非鉄大手、三菱マテリアルの山ノ辺敬介常務は「(電気料金の値上げは)間違いなくコストアップ要因になる」と指摘する。アルミ生産には大量の電力が必要なため、「夜間操業などでコスト削減を図るが、100%カバーすることはできない」と頭を抱える。
部品供給網の混乱から減産状態が続く自動車業界にとっても、電力不足や料金値上げは“泣きっ面に蜂”。関東地方に複数の生産拠点を抱える日産自動車も「値上げは受け入れられるものではない」(川口均常務)との姿勢だ。
さらに、ある電機大手首脳は「他国のライバルメーカーは電力料金も含めて低コストで製品をつくっている。これ以上コストがかさむと勝てっこない」と嘆く。家電・IT分野では国内メーカーは韓国勢などと熾烈(しれつ)な価格競争を展開しており、最終製品への価格転嫁は事実上不可能とみられている。
産業界は節電も兼ねた防衛策として夜間電力の使用に加え、自家発電機の導入など対策を急ぐが、影響は避けられそうもない。