2011年8月27日土曜日

生活を便利にするソフト開発で先行を狙うHP

安いパソコンメーカーとしてきたHPですが、最近は同性能でもレノボやエイサーの方が安いということで押され気味ですね。そんな自体を打開しようと、生活に密着したソフト開発に一発逆転を賭けるみたいです。

ヒューレット・パッカード(HP)は自社のオペレーティング・システム「WebOS(ウェブOS)」を、家電メーカーや自動車メーカーに使ってもらおうと攻勢をかけている。だが、ウェブOSは市場では後発で、また実績も少ないことから、メーカーはライセンス提供を受けるのに二の足を踏んでいる。
HPのアポテカ最高経営責任者(CEO)は6月に、ウェブOSについての関心を測るため、さまざまな企業と話を始めると述べた。ウェブOSはHPのタブレット「タッチパッド」やスマートフォンの「プレ(Pre)」に使われているオペレーティング・システム(OS)だ。
HPによると、ウェブOSはタッチコマンドを使いインターネットに接続できるので、これを活用することで製品が使いやすくなり、機能性も高まるという。
たとえば、調理用コンロについているスイッチをタッチスクリーンに替え、そこにインターネットからダウンロードしたレシピを表示する。あるいは、1日のうちの決まった時間に氷をつくるよう、冷蔵庫をプログラミングする。
HPは、ウェブOSを家電製品や自動車に搭載することで、OSの周囲に機器やアクセサリーの体系を築きたいとしている。それにより、その製品で使えるプログラムが書かれ、アップルがApp Store(アップストア)で展開しているようなソフトウェアの市場を促進できればと考えている。アナリストによると、HPはソフトをメーカーにライセンス提供することで、安定した収入を確保することを狙っているという。
しかし、アナリストや業界関係者は、HPの野望は多くの課題に直面するだろうと言う。すでに専門のソフト・メーカーがおり、先進のOSを自社製品に導入することに興味がないメーカーもいるからだ。
HPは昨年パームを買収し、そのときにウェブOSも獲得したが、市場には出遅れた。自動車、航空機、家電のメーカーは、すでに独自のソフトを構築している。そうでない企業はグーグルのOS「アンドロイド」か、マイクロソフトのウインドウズの一種を使っている。
フォード・モーターは「シンク」という自動車用エンタテインメント・ソフトに、ウインドウズの専門バージョンを使い、運転手がワイアレスで電話をかけられるようにしている。また、声による操作で、音楽を変えたりメッセージを聞いたりもできる。トヨタには「エンチューン」という類似のシステムがあり、レストランの座席や映画のチケットを予約できる。
アナリストは、ここにHPの出遅れぶりが現れているという。ガートナーのアナリスト、シロ・コスロウスキー氏は「自動車メーカーは、毎年サプライヤーを代えるようなことはしないだろう」と言う。
HPは他の業界でも出遅れた。
航空機内のエンタテインメント・システムを開発するパナソニックアビオニクスは昨年末、グーグルのアンドロイドを製品に搭載すると発表した。広報担当者は、ウェブOSなど他社のソフトも検討するが、当面はアンドロイドに集中するという。アンドロイドを使った同社の最初の製品は、2013年に発売予定だ。
それでもウェブOSは、信頼できて使いやすいOSだとみられている。直感的に使え、電子メールのアカウントやソーシャル・ネットワークからデータを集めて、アドレス帳やカレンダーを作ったりもできる。
また、多くの企業がウェブOSを使う可能性を否定していない。バージン・アメリカは、機内のエンタテインメント・システムを改善するため、ウェブOSを含めた複数の選択肢を検討中だという。同社が求めているのは、テレビ番組が見られ、乗客の食べ物や飲み物の注文を受けられるようなシステムだ。同社広報担当のアビー・ルナディーニ氏によると、システムの改善には数百万ドルをかけ、採用したOSはこの先5年から10年の間、同社システムの基盤として使われるという。